人口減少時代の成長戦略②|女性の労働参加率向上の可能性 

人口減少

今回のテーマ:女性労働参加率の推移と国際比較

今回の目的:女性の労働力人口の増加が今後も続くのか

前回の記事においては 過去30年間において、日本全体の人口は減少しているものの、女性と高齢者の労働力人口が増加した結果、日本全体の労働力人口も増加していることを確認しました。

その中で女性の労働力人口については、1995年から2022年までの間で185 万人も増加しているということを見てきました。女性の現役世代の人口は減少しているので、労働力人口比率、つまり働く意思を持った人の割合が増加したことがその要因でした。

今回はこの過去の振り返りも踏まえつつ、2023年以降の人口を予測値をベースに女性の労働力人口というトレンドが今後も継続して、労働力人口にどのような影響を与えるのかについて考察していきたいと思います。 

女性の労働力人口比率に上昇の余地があるか

労働力人口の増減は、①人口の増減と②労働力人口比率の増減の二つの変数の掛け算によって決まってきます。①の人口については、今後現役世代女性の人口は減少していくことが推計されていますので、労働力人口をシミュレーションするにあたっては人口の減少は簡単には変更ができない前提事項としてとらえたいと思います。

そのため、労働力人口が更に増えるか減るかについては、もう一つの変数である労働力人口比率がどのように変化するか、あるいは変化させることができるかをみていくことで推計したいと思います。この「労働力人口比率」がどのように変化する可能性があるのかを見ていきたいと思います。

現役世代女性の労働力人口比率は1990年の58.8%から2022年に向けて上昇してきています。しかし、2022年で比較しても、男性と比べると12.4%ほど低いものとなってます。 今後この労働力人口比率が男性と同じ水準まで高まるのであれば女性の労働力人口の増加は今後も継続することをになるはずです。 果たしてどこまでこの労働力人口比率が向上する余地があるのでしょうか。

女性の年齢区分別労働力人口比率 

女性の労働力人口比率に向上の余地があるかどうかを検証するためにまずは女性の年齢区分別の労働力人口比率を見ていきましょう。

男性の年齢区分別労働力人口比率は、大学をや大学院を卒業する20代後半から定年の60歳ぐらいまで、ほぼ95%前後で推移しています。これに対する女性の値をみていきましょう。

2012年の女性の値を見てみますと、子育ての始まる30代前半を契機に労働力人口比率が下がり、子育て終了後となる40代後半くらいに回復しているのがわかります。これは M 字カーブと呼ばれ女性の労働力人口比率に関する一つの大きな課題として捉えられていました。つまり子育てが一つの契機あるいは 障害となり、女性の労働への参画が抑えらえている状況を表しているとされていました。

今度は女性の2022年のグラフを見てみましょう。25歳以降のすべての年齢層において労働力人口比率が2012年よりも上昇しているのがわかります。それに加えて、M字カーブ についても解消されてフラットな線に近づきつつあることもわかります。 30代から40代くらいまでの労働力人口比率も 40代以降の女性の値とほぼ同じようなレベルまで盛り上がってきているのが見て取れます。この10年間の間に子育て支援や男性の育休取得などの政府の政策や企業の支援などの要因を背景に、 M字カーブが解消されてきていると考えられます。

しかし、M字カーブが解消してきているとはいえ、20代後半の女性の労働力人口比率と比べると30歳以降の女性の労働力人口比率は約7ポイント程度下がったままで推移しており、依然として結婚や子育てを契機に職場復帰しない女性は多く存在していると考えられます。

では、この結婚や出産を契機とした女性の労働力人口比率の減少を改善し、更には男性並みの労働力人口比率の実現が可能なのでしょうか?

女性の年齢区分別労働力人口比率 世界各国との比較  

この問いに回答するために他の国々の女性の年齢別労働力人口比率との比較を実施してみました。

日本よりも女性の労働力人口比率の高い国としてフランス・スェーデンと比較してみます。フランスとは3%~5%程度の差です。女性の社会進出が進んでいると言われている北欧諸国のスウェーデンは、20代の後半から60代までの女性の労働力人口比率は90%前後を実現しています。日本における男性ほどのレベルではないですが日本の女性の水準と比較すると10%程度の差があります。

制度や慣習の問題などもあるので一概にこのレベルを日本の目標とするべきであるとは言い切れませんが、ここではスェーデン並みの女性の労働力人口比率が、現実世界において実現できる最大値として仮定した場合、日本の今後の労働力人口がどのようなインパクトがあるかをシミュレーションをしてみたいと思います。

女性の労働力人口の将来推移シミュレーション

こちらのグラフが現役世代女性の労働力人口について、将来のシュミレーションを行った結果になります。

ベースとなる女性労働力人口の推移は、国立社会保障・人口問題研究所の人口推移予想を基に、現在の女性の現役世代の労働力人口比率である74.3%が今後も継続することを前提とした際の労働力人口の推移となります。一方で数値の記載してあるのは、北欧並みに労働力人口比率が高まって労働力人口が増えた際の増加する労働力人口の数となります。

2035年くらいまでは、労働力人口比率が改善した場合、労働力人口の減少を食い止めることができていますが、それ以降は人口減少のスピードが速く、労働力人口比率が改善しても女性現役世代労働力人口は減少してくことが予測されます。

これまでは、女性現役世代労働力人口の増加により労働力人口全体の減少に歯止めがかかっていましたが、女性の労働力人口比率が改善していったとしても、この先女性の現役世代労働力人口増加による全体の労働力人口減少のスピード逓減効果は減少していくことが予測されます。

今回の試算は、10年かけて北欧スェーデンと同等に女性の労働力人口比率の改善が進む前提の試算となっていますが、女性の働きやすい環境や制度の準備が遅れればこの比率の実現も難しくなるため、より早く女性現役世代の労働力人口の減少は開始されるものと考えられます。

まとめ

現役世代の女性の労働力人口は、1995年から2022年までで、185万人程度増加しました。これは現役世代の女性の人口は減少していますが、女性の労働力参加率が向上したことによるものした。女性の労働力参加率は男性や北欧と比較するとまだ改善の余地を残しており、今後日本の労働力人口が増加するためには重要なカギを握っているといえます。ただし、現役世代の女性の労働力人口比率が高まり続けるためには、いくつかの重要な課題を解決する必要もあります。

まず、子育て支援の充実と職場復帰の支援が最も重要です。近年、M字カーブの解消が進んできたことは大きな前進ですが、依然として30代以降の女性の労働力参加率は男性に比べて低く、特に結婚や出産を契機に職場復帰しない女性が多いのが現状です。これに対し、企業側は柔軟な勤務形態や育児休業の取得促進を積極的に支援し、働きやすい職場環境の整備を進めるべきです。また、政府は男女共同参画社会の実現に向けた政策強化を行い、育児休業や家事育児の負担を均等にするための法整備などを進める必要もあります。

しかし、一方で今後の現役世代女性の人口の減少のスピードが今後急激に加速することも予想されています。シミュレーションのように女性の労働力人口比率を北欧なみに改善させたとしても、現役女性の労働力人口は減少していくと予想されます。

これまでのように、新たな労働力が増加して人手不足が解消することに期待することは難しくなってくるものと考えらます。少数精鋭でも価値を生み出せるような働き方やマネジメントがますます企業や組織に求められるのではないかでしょうか。

次回は、女性と同じくこれまで増加してきた高齢者についても今後の労働力人口のシミュレーションを実施してみたいと思います。

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